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不動産取引と重要事項説明 |
宅地建物取引業法第35条の定めにより、宅地建物取引業者は不動産取引の相手方(買主・借主)に対し、契約上の重要事項について書面を交付して説明することを義務付けられています。この書面のことを重要事項説明書といい、宅地建物取引業者(不動産業者)は契約書前に重要事項を説明しなければなりません。
重要事項説明の中には道路や私道に関する事項が定められています。道路や私道の種類・形状等により不利益があることを知らないで契約した場合に購入者が被害を被る可能性があるため、宅地建物取引業者に説明を義務づけたのです。
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重要事項説明で解ること |
不動産売買における重要事項説明の中には、私道に関して直接的に関係する事項だけでなく、間接的に強い影響を受ける事項も多く含まれます。たとえば容積率に関しては宅地の面積で判断しがちですが、道路幅員による制限もありますし、道路との距離により斜線制限を受けます。下記は一般的な重要事項説明に含まれる『私道』や『道路』に関係する事項です。重要事項説明の中の大半が道路に関係します。
【不動産の表示欄】
○私道持分の地番・地目・地積(私道部分が分筆されている場合)
【売主の表示欄】
○売買対象となる宅地や私道の所有者の氏名・住所
【登記簿に記載された事項欄】
○登記名義人の氏名・住所 ○抵当権等の有無 ○その他の権利関係
【法令に基づく制限の欄】
○都市計画 ○都市計画道路の有無 ○開発許可の詳細
【建築基準法の制限の欄】
○建築協定 ○外壁後退 ○壁面線の制限 ○いろいろな斜線制限 ○建ペイ率 ○容積率の制限(道路制限) ○私道の変更または廃止の制限
【敷地と道路の関係の欄】
○接面道路の詳細 ○私道と公道の別 ○道路の種類 ○道路の幅員 ○位置指定道路の番号 ○道路境界線の後退(セットバック)の有無・面積 ○路地状敷地の長さ・幅員
○建築の可否 ○敷地と道路の関係(概略図)
【私道負担に関する事項の欄】
○私道負担の有無 ○私道の負担面積 ○私道の負担金 ○道路境界線の後退(セットバック)面積 ○対象不動産に含まれない私道に関する事項(名義人) ○備考
【飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況の欄】
○それぞれの供給施設の配管状況 ○前面道路や敷地内の埋設管に関すること ○私設管の有無 ○整備予定や負担金の有無 ○配管等の状況のの概略図
【添付書類一覧の欄】※私道に関係するもの
○土地の登記事項証明書 ○公図 ○地積測量図 ○物件状況確認書 ○位置指定図 ○上下水道やガスの配管図 ○私道の覚書や承諾書の写し
【備考欄】
※私道に関する覚書や協定に関することなどが備考欄に記載されることがあります。
※測量に関することは私道と関係します。
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買主の立場で注意すべき点 |
不動産取引における重要事項説明は購入者が理解するためのものですが、現実的には難しい説明で解りにくいものです。私道に関して理解が困難な場合は、わかりやすい言葉で説明を求めることをお勧めします。下記のような質問をしてみるのも良いと思います。
○私道の場合、どのような私道か?想定できる不利益はあるか?
○その私道は建築基準法で認める道路か?
○建築する際に他人の同意が必要となるか?
○通行する際に他人の同意が必要となるか?
○私道の位置は確定しているか?境界のトラブルになる可能性はあるか?
○私道部分が分筆されていない場合、私道面積と宅地面積の内訳が分かるか?
○その他、ご自身が不安に思うことの全て。 |
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